ルビンの壺

 『ゴリラーマン』を最近読み返したときに、主人公が「おれの尊敬する人が言っていた『人生に期待するな』ってどういう意味だろう…」という台詞があって、ちょっと気になったのでインターネットで検索してみると、それはビートたけしさんの言葉だった。
 そこから連想で、以前糸井重里さんが「ほぼ日」で言っていた、明石屋さんまさんが自分の子どもにつけた『生きてるだけでまるもうけ』を略した、『いまる』という名前について、「子どもにそんな名前をつけるような人だから」という言葉を思い出した。
 ここまで書いてわかる人にはわかると思うけれど、「なぜそんな言葉が生まれたか」ということを最近よく思う。もっと言うと「どうしてわざわざそんなことを言うに至ったか」。
 発した言葉から逆に、発した人の中身が少しだけ浮き出る。例えば、なぜ人に対して黙っていられないほど嫌悪感を露にしたり、これが私は好きでこれが私はかわいいと思うなどと求められていない主張をするのか。それはしばしば自分の認めたくない短所であったり、自分は持っていないがこうありたいというセンスや才能を逆に示すことではないか。また、例えば、豊かな時代に悲劇が流行り、貧しい時代に喜劇が求められる理由。欠けている、過剰な人から生まれる芸術。などなど。
 当たり前のことをだらだらと書いてしまったが、そんなことを小沢健二さんの『LIFE』を聴きながら考えていたという話。この季節にぴったりのアルバム、未聴の方は是非。
 ところで、「鉄腕DASH」的企画だった昨夜とても面白かった、ビッグ3の最後のひとり、タモリさんの座右の銘は、『適当』。これはいかに?